遺言サポート|全ての財産を実弟1人に渡したいという遺言を残したケース
状況
Aさん(84歳)は子供が居ないので、自分の遺産を弟に渡したいとのご希望でした。
Aさんは、農家へ嫁いで以来60年近く夫の両親と同居し、夫と共に懸命に働いてきました。しかし、4年前に夫が急に亡くなってしまったのです。Aさんが声をかける間もないくらいの急死でした。
4年前の亡夫の相続に関し、遺産の額は相当な額にのぼりました。しかし、亡夫は遺言を書いていなかったので、Aさんは夫の兄弟妹4名と遺産分割協議をしなければなりませんでした。夫が生きている間、一家の財産管理は夫に任せっきりにしていたので、Aさんにとって義理の仲である夫の兄弟妹との話合いは本当に大変なことだったとAさんは言います、相続税申告に関わった税理士の方がいろいろを助けてはくれたものの、ようやくに遺産分割協議が調い、亡夫のきょうだいたちに金銭を分配し、相続税を納めたときには心身ともに疲れ果てていたそうです。
そのような経験を経て、現在、Aさんは一人で暮らしています。そのAさんの生活を支援しているのは、Aさんの実弟Bさんです。県外から車で2時間もかけてAさんにはできない力仕事や買い物などの用事を足しに来てくれます。
Aは、実のきょうだいが多く、Bさんの他にも姉1人、妹1人、弟1人いますが、いずれもAさんと年齢が近く、相当に高齢になっています。Aさんが頼れるのは、17歳の年齢差がある末弟Bさんだけになっています。
司法書士の提案&お手伝い
Aさんは、「私のすべての財産をBさんへ相続させたい」という意思を明確に持っており、その旨の自筆証書遺言を書くつもりだと言いました。
司法書士はAさんに公正証書遺言の作成を提案しました。遺言内容だけではなく、Aさんがなぜそのような遺言をしたいのかをしっかり聴き取って、付言として文章にしました。Aさんが遺言を書こうとする動機は、Bさんへの感謝であると共に自分が亡夫の相続で経験した大変な思いをBさんにさせたくないという配慮です。
さらに、司法書士は、Aさんより末弟Bさんが先に亡くなるという万が一の場合も考え、その場合はどうするかとAさんの意向を尋ねたところ、「Bさんの妻Cさんにあげたい」と明言したので、その申述も予備的遺言として付け加えて記述しました。
また、その遺言の内容を実現するための遺言執行者も決めておくことも勧めました。司法書士は、Aさんの意向を確認しつつ、公証役場と打合せを重ねて準備しました。
結果
公正証書遺言は、家庭裁判所の検認も要らないので、これをもってAさんの遺産すべてはBへと円滑に相続させる手続ができます。兄弟姉妹には遺留分がないので、Bさんに対して減殺請求がなされる心配はありません。
Aさんは、「実家から持ってきた財産ではなく、亡夫と二人で守ってきた財産だから、このような遺言も他のきょうだいたちはきっと理解してくれるでしょう」と言っていました。
遺言書作成サポートの料金について
サービス内容 | 費用 |
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遺言書作成サポート(自筆証書) | 50,000円~ |
遺言書作成サポート(公正証書) | 50,000円~ |
証人立会い | 15,000円/名 |
※ 公正証書遺言の場合、当事務書の報酬と別に公証役場の手数料が必要になります。
※ 財産の総額が5,000万円までとなります。5,000万円を超える場合は1,000万円毎に約1万円が加算されます。
※ 急を要する場合、通常の業務に優先して業務を行う必要がある場合は、報酬が一定割合加算されます。
遺言執行サポート
サービス内容 | 費用 |
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遺言執行サポート | 遺産評価総額の1.0% |
※ 遺産額に関わらず、報酬は最低30万円からとなります。
※ 遺言書保管料:10,000円/年(当方を遺言執行者に指定頂いている場合は無料です。)。
※ 諸証明発行等の実費は別途かかります。